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ホモジナイザーの種類&選び方を知るための6項目

食品工場・化粧品工場などで使われる代表的な設備に、ホモジナイザーがあります。ホモゲナイザーと表記することもありますが、いずれも同じ機械です。

高圧式・超音波式など複数の方式が存在しており、ラインナップは多種多様。しかし、さまざまな製品の製造過程で用いられているわりに、一般にあまり詳しい情報が知られていません。

ちなみに、英語のホモジナイズは“均質化する”という意味になります。しかし、単に“均質化する機械”と訳しても、実態はあまり見えてきません。いったい、ホモジナイザーとはどのような機械なのでしょうか?

  1. ホモジナイザーって何?
  2. ホモジナイザーの種類にはどんなものがある?
  3. 用途別に見るホモジナイザーの種類
  4. ホモジナイザーでどんなことができるの?
  5. ホモジナイザーを導入するための基礎知識
  6. ホモジナイザーに関するよくある質問

こちらでは、工場経営者の方、研究職の方に向けて、ホモジナイザーの正しい知識を紹介しています。ホモジナイザー導入時の注意点なども掲載しましたので、ぜひ、参考にしてください!

1.ホモジナイザーって何?

ホモジナイザーは、液体に含まれる粒子を均一にするための機械です。一部の液体は、液中に微細な粒子が無数に入っているのをご存じでしょうか?たとえば、牛乳などが当てはまります。

牛乳に含まれる成分のうち、乳糖・乳清タンパク質・ミネラルは水に溶ける成分です。しかし、脂肪とカゼインは水に溶けません。そのため、脂肪とカゼインは水分の中で微細な粒子として存在します。脂肪球が1〜100μm、カゼインが150〜200nm程度の粒子状になり、水の中に浮遊しているイメージです。こういった粒子のことをコロイドと呼びます。

ちなみに、牛乳が白く濁っているのはコロイド溶液であることが理由。完全に溶けた水溶液であれば、透き通っています。たとえば、食塩水は水に白い食塩を溶かしますが、最終的には透明の液体です。牛乳は粒子が溶けずに浮遊しているので、粒子が視界を遮って濁る…という理屈になります。

さて、コロイド溶液はあくまでも粒子が大量に浮遊している液体です。粒子の大きさもまちまちですし、粒子の位置が偏ることもあります。もし、粒子の位置が下へ下へと偏れば、最終的には成分が沈殿してしまうでしょう。沈殿があるようでは牛乳の品質が一定になりません。大きなタンクの下方は濃く、上方は薄くなってしまいます。

そこで、ホモジナイザーが活躍するのです。ホモジナイザーが牛乳に溶けているコロイド粒子の大きさを揃(そろ)え、さらに偏りが出ないよう全体の濃度を均一化します。ホモジナイザーが“液体に含まれる粒子を均一化する”というのは、まさにこういった意味なのです。

1-1.ホモジナイザーは何に使われるの?

もちろん、ホモジナイザーは単に牛乳を均一化するだけの機械ではありません。世の中では粒子を含んだコロイド溶液が数多く使われています。しかし、コロイドは水に溶けていないので、放っておくと水と粒子が分離する恐れがあるのです。

ホモジナイザーで液体に含まれた粒子を細かく砕き、さらに均一化する…。この行程を経ることで、水分とコロイドが分離するのを防ぐことが可能になります。また、ホモジナイザーで粒子を細かく砕けば“本来なら水と混じらない物質”をコロイド溶液として安定させることも可能。このように、水と混じらない物質をコロイド溶液化することを乳化と呼びます。

吉田工業(YOSHIDA)南通工場,日本から,世界のサービス。

ホモジナイザーはコロイド溶液を分離・沈殿を防ぐ用途のほか、本来なら水と混じらない物質を乳化してコロイド溶液にする用途にも使われているのです。

1-2.ホモジナイザーの原理とは?

ホモジナイザーには複数の種類がありますが、目的はあくまでも粒子の微細化・均一化です。そのため、内部で起きている現象そのものを説明するのは難しくありません。

液体をかき混ぜながら粒子を破砕し、微細化された粒子をさらにかき混ぜていく…というのが基本的な原理になります。要するに、大きさがまちまちな粒子を微小なサイズに揃(そろ)え、混ざりやすい状態にする。さらに、混ざりやすくなった微粒子を機械の力で強制的に水分と混ぜる…という2段階の行程を経るわけです。

粒子の破砕方法にはいくつかの種類がありますが、“破砕→かき混ぜる”という行程を経て液体を乳化する原理に違いはありません。ホモジナイザーによって乳化された液体は、“安定したコロイド溶液”になり、あとから分離・沈殿する恐れがないのです。

2.ホモジナイザーの種類にはどんなものがある?

ホモジナイザーによる粒子の破砕方法にいくつかの種類がある…というのは前述のとおりです。結局のところ、破砕方法のバリエーションが、そのままホモジナイザーの種類を規定すると考えてください。

こちらでは、主に破砕方式による違いに着目し、ホモジナイザーのバリエーションを解説したいと思います。

2-1.高圧式ホモジナイザー(高圧ホモジナイザー)

高圧式ホモジナイザーは、液体に高い圧力をかけてバルブに流す機構になっています。高圧・低速で流し込まれた液体が強く圧縮され、均質バルブに衝突。その後、液体は狭い隙間から一気に放出され、インパクトリングという部位に衝突します。瞬間的な放出、インパクトリングへの衝突…という2度の衝撃によって液体中の粒子が破砕されるわけです。以上の行程が行われるバルブ全体を指して、均質バルブと呼んでいます。

大きな脂肪を破砕するような場合、均質バルブを2回通過させる機構を使用。要するに、破砕・均一化を2回実施するわけです。均質バルブを2回にわたって通過させる高圧式ホモジナイザーを2段式と呼んでいます。

2-2.超音波ホモジナイザー

超音波ホモジナイザーは、液体に超音波振動を与える方式です。超音波振動を加えられた液体の中には、微小な泡が大量発生します。超音波レベルの振動によって生じた泡は真空の泡。真空の泡が液中で弾(はじ)けるときに大きな衝撃が生まれ、液体に含まれる粒子を破砕してくれるのです。ちなみに、大きな衝撃を有した気泡をキャビテーションと呼んでいます。

超音波ホモジナイザーは大量の液体を処理するのが苦手…という問題点がありましたが、近年は技術力の向上によって改善されてきました。

2-3.超高速ホモジナイザー

超高速ホモジナイザーは、固定外刃の中で回転内刃が高速回転する機構のホモジナイザーです。別名でポリトロンホモジナイザーと呼ばれることもありますが、このページでは超高速ホモジナイザーで統一することにしましょう。ジェネレーター内の内刃が高速回転すると、液体が外刃の穴から高圧噴射されます。結果、液体に強い対流が生じて、対流に乗った液体全体がジェネレーターを通過するわけです。

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ジェネレーターに入った粒子は高速回転する内刃に破砕されます。小さくなった粒子は外刃と回転内刃の隙間に挟まれて、さらにすり潰されて微細化・均一化されるのです。また、超高速回転の結果、内刃と外刃の間に高周波が発生。粒子は高周波の力で、さらに微細化されていきます。

3.用途別に見るホモジナイザーの種類

さて、ここまでは破砕方式による種別を確認しましたが、用途別に見た場合はどのような分類になるのでしょうか?

実際には“食品用”とか“医薬品用”などの明確な区分があるわけではありません。しかし、ホモジナイザーに負荷された機能・特徴によって大まかな分類をすることは可能です。

3-1.アセプティックホモジナイザー

蒸気の力で雑菌侵入を防ぐスチームバリアーを用いて、内部を無菌に保つホモジナイザーです。内部を無菌状態にできるので、食品・医薬品・化粧品などを乳化する際に安心感が高いといえます。

特に、加熱して殺菌することができない製品を扱っているなら、ホモジナイザー内が無菌であることは非常に重要です。

3-2.ラボスケールホモジナイザー

ラボスケールホモジナイザーは、研究室向けのホモジナイザーを指しています。研究用の液体試料を乳化するための装置…ということですね。研究室は食品工場などと異なり、大量の液体を一度に扱うことはありません。限られた分量の検体を扱うことになります。

そのため、ラボスケールホモジナイザーは少量のサンプルを扱うのに特化しているわけです。機械全体がデスク状に収まるサイズになっているほか、簡単に分解洗浄できる構造なのが特徴。

4.ホモジナイザーでどんなことができるの?

それでは、ホモジナイザーの具体的な用途を見ていくことにしましょう。実際にどのような目的で使われているかを知れば、その必要性が見えてくると思います。実際、ふだん私たちが使っている多くの製品が、ホモジナイザーの力によって生産されているのです。

4-1.食品分野におけるホモジナイザー

ホモジナイザーが最も活躍している分野の1つが食品製造です。前述した牛乳はもちろんのこと、マヨネーズ・ドレッシング・ケチャップといった調味料の多くがホモジナイザーによる乳化処理を経ています。

たとえば、マヨネーズは酢と油を混ぜた調味料です。本来、酢と油は混じりませんが、卵黄を加えることで乳化させることが可能になります。しかし、手作りのマヨネーズは放っておくと簡単に分離してしまい、あまり長持ちしません。市販マヨネーズが安定した状態を保っているのは、ホモジナイザーによる乳化を経ているからです。

4-2.飲料分野におけるホモジナイザー

私たちが飲んでいる飲料の多くが、ホモジナイザーを用いて製造されているのをご存じでしょうか?ホモジナイザーの力で製造される飲料としては、ココア・ジュースなどが挙げられます。

ココアのカカオ成分、ジュースの果汁が沈殿しないのは、やはりホモジナイザーによる均一化の賜物(たまもの)といえるでしょう。粒子が細かく破砕され、徹底的に混ぜられているからこそ、全体が同じ濃さに保たれているわけです。

4-3.化学分野におけるホモジナイザー

ホモジナイザーが活躍しているのは食品製造の分野だけではありません。化学工業の分野でもホモジナイザーは多用されています。インク・研磨剤などが代表的な製品です。

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インクの濃度が一定でムラがないのは、ホモジナイザーによって材料が均一に分散しているから。クリーム状の研磨剤に含まれているスクラブも、ホモジナイザーの力で微細化されたものです。こういった工業製品が私たちの手に届くのも、ホモジナイザーのおかげというべきでしょう。

4-4.化粧品分野におけるホモジナイザー

女性が毎日のスキンケアに使っている化粧品には、クリーム・美容液・乳液といったさまざまなラインナップが存在します。全成分表示を確認すれば分かりますが、クリーム・美容液・乳液などの化粧品は水分と油分をともに含有しているのです。

本来、水分と油分は混じりません。こういった化粧品は油分がコロイドになったコロイド溶液の一種ということになります。化粧品の製造過程においても、ホモジナイザーによる乳化処理が行われているわけです。

4-5.医学分野におけるホモジナイザー

医学研究においても、ホモジナイザーは大活躍しています。生物由来の医薬品を製造するバイオテクノロジー分野では、細胞を破砕して内容物を回収する…という行程が存在するのです。“回収するべき成分を破壊せず、細胞だけを破砕する”という目的のために、ホモジナイザーが用いられています。

そのほか、医薬品のソフトカプセル製造過程、さらには軟膏(なんこう)・クリームの製造過程でホモジナイザーが使われているようです。

5.ホモジナイザーを導入するための基礎知識

さて、ホモジナイザーの導入を考えている場合、どのような点に注意すれば良いのでしょうか?

ホモジナイザーは高額な上、製造業において要(かなめ)となる機器です。どの業者から購入するか慎重に検討する必要があるでしょう。こちらでは、ホモジナイザー導入にあたって検討するべき問題を紹介させていただきます。

5-1.トラブル時にフォローしてくれる業者を選ぶ!

業務用機器は家庭用機器と異なり、故障したから1週間ほど修理を待つ…というわけにはいきません。万が一、ホモジナイザーが故障すれば、通常どおりに操業することさえままならないのです。

ホモジナイザーを導入するなら、故障・不具合が生じた際、24時間365日緊急対応をしてくれる業者を選ぶようにしてください。工場は24時間稼働することも多いですから、深夜のトラブルでも緊急対応してくれる業者を選ぶ必要があります。

5-2.省エネ使用の製品を優先的に選ぶ!

工場において、設備運転にかかるコストを無視するわけにはいきません。機械を稼働するための電力を抑えることは、そのまま工場全体の利益率を向上することにつながります。

ホモジナイザーのモーターが省エネ化されているかはもちろん、稼働時間あたりの処理能力も重要な問題になるでしょう。なるべく、省エネ仕様の機材を選択するのが大切です。

5-3.定期メンテナンスをしてくれる業者を選ぶ!

ホモジナイザーは、30年、40年と継続使用できる機材です。しかし、きちんと保守されていなければ、長期間の継続使用はままなりません。

耐久性の高い機械だからこそ、定期的なアフターメンテナンスが重要なのです。きちんとアフターメンテナンスをしてくれる業者を選択することが、1つの機材を長く使うための必要条件といえます。

6.ホモジナイザーに関するよくある質問

最後に、ホモジナイザーの導入を検討している方のよくある疑問をQ&A形式でまとめることにしましょう。疑問点を解消し、ホモジナイザー導入の是非を検討する上での一助にしていただければ幸いです。

6-1.ホモミキサーとは何が違うんですか?

ホモミキサーというのは、液体同士を混ぜ合わせるための装置です。分離・沈殿を防ぎ、乳化する…という働きに関してはホモジナイザーと同様と考えてください。ただ、ホモジナイザーは液体だけでなく固体粒子にも使用できる…という点がホモミキサーとは異なるのです。

6-2.高圧式・超音波式などありますが、どれを選ぶべきですか?

それぞれに特徴があるので一概にはいえませんが、食品工場・化粧品工場などで一般的に使われているのは高圧式ホモジナイザーです。実際、大量の液体を効率よく処理するためには高圧式ホモジナイザーが優れています。また、超音波式は液体の温度が上がってしまう…という特徴があるので要注意。使用目的によっては“超音波式ホモジナイザーは不適”というケースも考えられます。

6-3.高粘度製品でも使用できますか?

ノズル式の高圧ホモジナイザーなど、高粘度の製品を苦手とするホモジナイザーも存在します。しかし、高粘度対応型のホモジナイザーを選択すれば、問題なく使用可能です。業者に高粘度製品を扱う旨を告げれば、適切な製品を紹介してくれるでしょう。

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6-4.実際に使ってから決めることはできますか?

一部の取り扱い業者では、テスト機の貸し出しを行っています。貸し出されたテスト機を動かし、想定していた効果を発揮するかどうか試してみると良いでしょう。まずは業者に資料請求を行い、テスト機の貸し出しが可能か確認してみてください。

6-5.バイオテクノロジー研究に用いる場合、どの方式が良いですか?

一般に、微生物を破砕するなら高圧式、DNAを切断するなら超音波、ヒト組織や植物の細胞を破砕するなら回転刃が適しています。ただ、個々の製品によって異なる部分もあるので、まずは業者に使用目的を伝えてみてください。業者側が、目的に合致した製品をピックアップしてくれるはずです。

まとめ

以上、ホモジナイザーの種類・選び方を解説しました!

食品・化粧品・医薬品などをはじめ、私たちの身近にある製品を製造する上で大活躍しています。一般にはあまり知られていない機械ですが、種類・用途が多岐にわたり、なかなか選ぶのが難しい機材といえそうです。

  1. ホモジナイザーって何?
  2. ホモジナイザーの種類にはどんなものがある?
  3. 用途別に見るホモジナイザーの種類
  4. ホモジナイザーでどんなことができるの?
  5. ホモジナイザーを導入するための基礎知識
  6. ホモジナイザーに関するよくある質問

こちらで解説した内容を踏まえ、ぜひ、貴社工場の製造ラインに適したホモジナイザーを選択してくださいね!

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